忘れられない1日
- masaru
- 2016年4月2日
- 読了時間: 9分
リスボンからサンティアゴまで巡礼の道を歩いてる時の事なんやけど、、、
天気も良くて、
人もよくて、
足取りも快適で、
肩だけ痛いなぁ〜
とか思って歩いてたある日。

街の人に「おはよう!」「こんにちは!」って言いまくって歩いてたんよね。
ゆっくり流れるポルトガルの田舎の雰囲気を堪能してて、
そこで住んでる人の生活とか、
のんびり昼寝してる猫とか、
しっかり番犬やってる犬とか、
まぁそんな感じで今日も夕方ぐらいまで歩くんやろな〜って思っててん。
ほんで、実はこの前の日、ボリビアで一緒に旅してた友達と電話してたんよね。
彼は今フランスとスペインの国境から始まる巡礼の道を歩いてる途中なんよ。
「そっちどうよ?」
ってのりで電話したんやけど、
「こっち巡礼してる人めっちゃ多いよ〜」
「韓国で巡礼の映画かなんかあったみたいで、半分ぐらい韓国人やで〜」
「ってかまさる毎日30㎞以上歩くとか頑張りすぎやろ!」
「こっちはあと一ヶ月ぐらいかかるかな〜」
なんて話をしてたんよね。
フランスの道は巡礼でも一番メジャーな道やから人も多いし、アルベルゲって言われる巡礼やってる人が泊まれる格安宿があるんやけど、それも10㎞おきにはあるみたい。
そんな事聞いて、初めてフランスの道が世界的にも有名やってことが実感できたんよ。

それはそうなんやけど、、、
こっちの道はアルベルゲなんて今までそんなに多くなかったし、街と街の距離が遠かったり、街ついても泊まるとこなんてないから、必然的に1日30㎞ぐらいは歩かなあかんくなる。急いでるわけじゃないんよね。
ってのもあって消防署に泊まったり野宿したりしてるわけで、、、
でも、ポルトガルの道はポルトって街を過ぎてから、だいぶ雰囲気変わる。
今までの黄色い矢印も、うっすら消えかけてるのがほとんどやったけど、、、
くっきりと貝殻つきの目印が多くなってきた。

「巡礼やってる人、ここのカフェきてくれたらサービスするよ!」
「巡礼中困ったらなんでも言ってきて!」
みたいな看板もちらほら、、、
ポルトから巡礼始める人がほとんどみたいやから、そうなってきたんやろね。
前振り長なったけど、、、笑
忘れられない1日になったのはここから。
午後3時過ぎ。
出発してから25㎞地点。
Vairaoって街について、小高い丘の上に立つ教会で景色見ながら休憩するか!

ってのんびりしてて、
「今日どこまでいこかな〜」
とか考えててん。
大体これぐらいの時間から、自分の元気とペース考えてその日の目的地を決めるんやけど、
疲れてもないし、日が沈むまでまだまだ時間あるから、もう一息頑張るか!

ワンコも遊びに来てくれたし。
って結論になってカバン背負って歩いてたら、、、
黄色い矢印の周りに、今まであんまりなかったものが、、、

よく見てみたら、アルベルゲの案内でした。
さすがサンティアゴに近くなってきただけあるな〜
いろいろ充実しとる。
なんか真ん中のやつ、Free Wifi・朝食・シャワー・プール付きって。
巡礼してる人がプール入るんかい!
まぁ値段書いてないから、道沿いにあったら値段だけ聞いてみるか!と思って。
なんも考えずに一番上の、200m先にあるアルベルゲにいってみたんよね。
入り口。

なんかしっかりしてそう。
さっきの看板に詳細書いてなかったから、多分集会所の空きスペース的なとこで寝かせてもらえるんやろな〜なんて思って、ベルを鳴らす。
出てきたおばちゃんはもちろんポルトガル語。
スペイン語で、
「値段いくらですか?」
なんて聞いても通じなくて、どんどん中へ通される。
値段だけ知りたかったのに、、、
まぁしゃないこれも流れや!
って思ってしまう僕。笑
ここに泊まるか!
あまりにも高かったら断ろ。
「これも流れや!」
って思った時に大体イベントが起きる。
これが僕の旅の楽しみ方、、、笑

おばちゃんは城みたいな建物の3階に僕を連れていく。
「巡礼手帳とパスポート番号ここに書いてね!」
と受付が始まって、、、
ここまできたら値段高くても断れなくなってくるやん。
ほんで、おばちゃんの口から値段が告げられる、、、
「5ユーロ」
余裕で泊まる!
かなり安いんやけど、アルベルゲは大体10ユーロ以内なんよね。
設備はいろいろやけどね。
ほんで、財布の中から5ユーロ探すんやけど、
ちょうどなかったんよ。
「ちょっと待ってね〜」
「10ユーロでおつりもらえます?」
みたいな仕草してたら、
「小銭全部出してみて。」
って言われて、、、
4、42ユーロぐらいやったかな。
全部出してん。
「じゃなそれでいいよ!」
まじかよ。
なんか悪いやん。
でもおばちゃんの顔はニコニコしたまま。
どう見ても悪い人には見えへん。
ここはお言葉に甘えさせてもらうことにします。
ほんで、案内が始まった。

ここの部屋使っていいよ

ここキッチンね。

食事はこっちでしてね。

コーヒーも好きに飲んでいいよ。

ここがトイレとシャワーね。

洗濯するものあったらここでしてね。
これで5ユーロ。
本当ありがとうの気持ちしかでてこなくて、、、
おばちゃんが去り際に、
「冷蔵庫にコーラ入ってるから飲んでいいわよ!」
オブリガード連発するしかなかったんよね。
普段より歩いた距離は短いとはいえ、ゆっくり休める場所があるってのは本当にありがたい。
言葉では言い表せないぐらい、ほんまに嬉しかった。
おばちゃんが自分の家に帰ってから、ちょっと宿の中を探検したんやけど、

資料室みたいなのがあったり、

他の部屋にもベッドがずらり。

極め付けはこの部屋、、、

2段ベッド何台おいてんねん!
巡礼の盛んになる春秋の時期はこれが満員になったりするんかもね。
そういや、フランスの道のアルベルゲで200ベッドあるとこが全部埋まってるとかってのも、聞いたことある。
早い者勝ちだとか、、、
これから先のサンティアゴまでのアルベルゲの紹介も。
わかりやすく、距離も書かれてるやん。

世界中からサンティアゴを目指して巡礼しに来る人がいてるんやな。

宿に置かれてるノートにはたくさんの感謝の言葉があったり、
壁のボードにも、巡礼者が感謝の気持ちを表したものが。

僕のボンフィンも仲間入りさせてもらいました。
「めっちゃいい宿に出会えた。」
これで終わったらあかんと思うねん。
「ラッキー!安いし広いし、コーラも飲めるし、部屋も貸切やん!サイコー!」
、、、、
これで終わったらあかんやろ!
値段が安い高い、
設備が整ってる整ってない、
部屋が綺麗汚い、
ベッドが柔らかい柔らかくない、
そんなことはさほど大事じゃない。
一人で旅を続けてると本当いろんな宿に泊まるんやけど、
良い宿、悪い宿、
それは見た目じゃないと思う。
宿の人が泊まる人のことをどれだけ考えてくれてるか。じゃないかな。
綺麗なもの、ピカピカのものは誰でも揃えることはできると思うんよね。
でも、美しいものってのはその人の気持ちが乗っからないと生まれない。
それで、今回の宿にたまたま出会ったのか、必然的に出会ったのか、、、
「偶然なんてこの世にありえない。」って思ってるから、
今回のこの出会いに何か理由があるはず。
なんか勉強させてもらえるはず。
ほんで、ここで考えたことは。
「これだけ巡礼者のこと、考えてくれてる宿とおばちゃんにどうすればいいのか?」
綺麗に使う。
感謝の気持ちを伝える。
ゆっくり休ませてもらう。
こんなことは当たり前で。
必要なことは、「良き日本人である事」やと思った。
つい最近、海洋冒険家の白石康次郎さんって人の事調べてたんやけど、、
彼は、今の僕と同じ26歳の時にヨットで単独無寄港世界一周をした人。
日本からヨットで出発してどこの港にも寄らずに、世界を一周して日本に帰る。
ってことを世界最年少でやってしまった人。
その人がいってた。
「世界に出て行く時は、良き日本人であれ。」
って言葉。今の僕にはピッタリくる言葉。
「オーケストラは、それぞれの楽器の最高の音色を出すから素晴らしいハーモニーを生み出す。世界中の人がそれぞれの国の良き人であれば、世界は素晴らしいのもになる。」
ともいってはった。
ほんまそうかもしれん。
サッカーでも、全員同じプレーじゃなにも面白くないやん。
パスセンスあるやつがいて、
足速いドリブラーがいて、
精度の高いキッカーがいて、
なんでお前いつも点とれんねん!ってやつがいて、
唯一手が使えるゴールキーパーがいて、
もしかしたら、ベンチで怒鳴ってる監督も、
それ見て、「ちょっと言いすぎちゃうか?」って思ってるコーチがいて。
その人たちが、それぞれの最高のプレーをしようとするから人は夢中になるんやと思う。
これはオーケストラとかサッカー以外でも言えること。
人が集まって集団ができた時点で同じやろ。
学校でも会社でも、
飲み会でも、
バーベキューでも、
家族でも、
ほんで、今まで泊まった人の履歴見せてもらってんけど、ほんまにいろんな国の人がいたんよね。
日本人は名簿見る限り、数えるぐらい。
そうなると、もし宿のおばちゃんが日本に行ったことがなかったら、僕を含めた数人のイメージが日本のイメージになってるんやろな。
人のイメージってそういうもんやと思う。
日本を代表してるわけや。
「サッカー部ってちゃらいよな〜」
ってよく言われたし、、、笑
いろんな宿に泊めてもらってて、僕がいつも心がけてること。
「自分が使った布団とシーツを綺麗に畳むこと。」
いろいろ理由はあるけど、
「一番は、自分がベッドメイクする人やったらその方が気持ちいいから。」
それと、もう一つ思うことがあんねん。
「想像を超える。」
これはどんな時に起きるのか。
言葉の通りやと思うんやけど、「想像を超えた時。」
でも、実は歩きの旅する前はなかなか感じずらかった感情やねん。
ウユニいった時、
マチュピチュいった時、
オーロラ見た時、
イグアスの滝いった時、
もちろんよかったんやけど、なんか、、、、なんかやってん。
それはなんでかって、
「想像する前に見てしまってるから。」やったんかなって今は思う。
インターネットが世界中どこでも使えるようになったのと同時に、ネットが繋がれば大概のものは見えるようになってしまったと思うねんな。
「ウユニ塩湖いきたーい」
ってのも多分本屋さんとかテレビ・ネットで見て行きたくなるんやと思う。自分もそうやったし。
でも、それは本当の意味で想像してるのとは違うんちゃうかな?
想像することは、映画を見る前に原作の小説を読むことに近い気がする。
字を読んで、頭のなかで映「像」を「想」い浮かべる。ことやん。
なにが言いたいかっていうと。
今回は確実に想像を超えた場所と人に出会えたってこと。
もし、僕がポケットWifiとかSIMカード買って携帯いじりながら旅してたら、このアルベルゲのこと知ることができたかもしらん。
でも、知ってしまったら。
5ユーロで、
おばちゃん優しくて、
巡礼者の感謝の気持ちがノートに書かれてて、
キッチンが綺麗で、
コーラが飲めて、
ってことを知ってしまってたら。
今と同じ気持ちでおばちゃんにありがとうは言えへんと思うねんな。
知ることも大切やし、人間の知識欲ってのが世界を良くも悪くも変えてるけど、
知らなくて飛び込んでみるってのも大切な時があると思う。
そんなことを考えながら、
良き日本人であり、自分らしさのある自分でいようと、強く思いますね。
忘れられない1日で、忘れちゃいけない1日。
最後まで長文にお付合いいただきありがとうございました。
そろそろ日本から旅立って半年が経ちます。

Comments