人が作ったものじゃない世界。
- masaru
- 2016年6月16日
- 読了時間: 6分

ここ数日ネパールのポカラって街に行ってたんよね。
旅先でいろんな人に勧められた、
「ヒマラヤトレッキング」
を歩きに行く為に。
ギリシャ・トルコにいる時にトレッキングについて色々調べてたんやけど、、、
ネットの情報より現地の情報の方が確かやろ!
ってことで、とりあえずネパールの首都カトマンズまで飛行機で飛んだんよ。

カトマンズと日本の時差は3時間15分。
いよいよ日本に近づいてきた。
日本から韓国よってカナダいったから、いきなり時差が10時間以上。
その時は遠くまで来てしまったな〜
って思ってたけど、そこから徐々に時差が縮むのが楽しくも悲しくもあったんよな。
旅の終わりが近づいてくるみたいで笑

ヒマラヤ山脈にはトレッキングルートが山ほどあるんやけど、今回僕が行くことにしたルートが、、、
アンナプルナ・ベースキャンプ
通称「ABC」
標高8091mのアンナプルナのベースキャンプまでいって帰って来るってルート。
基本的にみんなガイドつけて行くんやけど、ベテランの人たちはガイドなしで、地図とGPSもって一人で歩いていく。
僕も、ガイドなしで行きたかってん。
お金どうこうってのもあるけど、やっぱり自由に行きたいとこに行きたい時にいきたいから。
とはいえ、僕は「ベテラン」ではない。
体力には自信あっても、山はそんなにあまくない。
ましてや、初めて登る山。
しかもあの有名なヒマラヤ山脈。
一人は不安やったから、近くの街まで行って一緒に行く人探すか!
って感じで現地にいったんよね。
思いは招くってのもあってか、ついたバス停で同じルートを歩くジュンペイと出会って一緒に行けることに。
ちょっと体調悪いのもあって、ポカラの街で2泊してからアンナプルナに向けて動き出した。

それぞれ地図と行動食、登山用品を揃えて出発。
この時期、ネパールは雨季。
トレッキングは約1週間の予定。
まぁ雨のことも想定して、雨具とかも持っていったんよね。
出会ったばっかりの2人で山へ入る。

出発は標高1000mぐらい。
こっから4日かけて4000m越えのACBを目指す。
宿はどんなとこにあるのか、
水の確保はできるのか、
危険な場所はないのか、
などなど、調べて行ったけどやっぱり不安。
そんな不安も、彼との会話が弾みあんまり気にならんなったんよね。

そして、なにより
山の景色、
山で暮らす人、
そんなものに魅了されて毎秒出会う「初めて」に感動しながら進んでいってん。
ほんで、初めに2人で決めた目標。
「下山の時も出発と同じ笑顔で帰って来る事」
ナヤプルって街からトレッキングが始まる。
それでも、バスが後ろから追いかけてくる。

全く知らんかってんけど 、もっと上までバスで行けるらしい。
しかも200円。
「乗って行っちゃいます?」
なんて冗談をかわしながら一歩一歩。
初日はなだらかは道が続く。

車が入れへん山間部にはロバに荷物をのせていく。
トレッキング中に、ロバに付けられた鈍い鈴の音が聞こえてきたら、
「おい!またロバのサーカス団きたぞ!」
なんてバカ騒ぎしてたのも懐かしいな笑
アンナプルナBCから帰ってくる人もちらほら。
結構ガイド付けてへん人多かったから、ちょっぴり安心しだした笑

毎晩泊まる宿は、トレッキングルートに点在する村の宿に泊めてもらうんやけど、
これが僕を虜にしてしまった。
まず値段。
一泊一人150円が最大。
最安値は50円、
0円とか言ってるとこもあったな。
ほんで景色が最高にいい。

あいにく夕方天気悪くて、夕日も星もみれへんかったけど、朝は遠くに見えるアンナプルナの山々が朝日に照らされて、素晴らしい目覚めを与えてくれた。

僕らのトレキングのスタイルは2時には宿に入って、コーラかミルクティーを飲みながら、日が暮れるのとお腹が空くのを、3時間も4時間もかけて待つ。
先を急ぐハイカーを応援したり、
同じ宿になるハイカーとおしゃべりしたり、
景色を見ながらジュンペイのハーモニカを聞いたり、
山とは全く関係ない話をしたり、
この時間が僕は大好きやねん。
5時過ぎに上がる太陽。
でも山に囲まれてるトレッキングルートから見える景色は、山の先端だけを照らす太陽の光。

これが幻想的で病みつきになる。
幸せを感じさせてくれる。
毎日8時ぐらいに歩き出して、アンナプルナが一歩ずつ日に日に近くに感じる。

ほんで、不思議な事にここでは3000mを過ぎても森林限界がこないって事。
日本なら富士山の5合目からちょっと歩けば、森林限界になって、背の低い高山植物が一面に広がる。
でもここは違う。
いつまでも森が続くねん。
これもヒマラヤならではの景色かも知らん。
ここもすでに標高は3000m越え。

色とりどりの花、
見た事ない植物、
この山独特の自然環境が目の前に広がる。


登り始めてから4日目。
無事アンナプルナBCに到着。

トレッキング後半よく出くわしたオーストリアのハリーも一緒にゴール。
到着は昼。
すでにあたりは雲の中。
下界山頂も見れへん。

ほんで、翌日の朝。
星空を見ようと、4時から起きてたけど、雲に覆われたまま。
でも、、、
太陽が上がって間もない頃に、山の景色は姿を変えた、、、
雲の切れ間に白く輝く7000・8000m級のピーク達。

山肌に沿って溢れてくる光の筋。



たった1時間弱の至福のひと時。
山に登るのはやっぱりこの時間を過ごすためにやってる気がする。
何にもかえれない幸福感に包まれんねんな。
「幸せは、なるのもじゃない。感じるのも。」
そんな言葉がしっくり来る。
一緒に眺めてたハイカーも特に何を話すわけでもなく、ただただ目の前の毎秒変わりゆく景色に、身と心を委ねてそれに見合った自然な表情を浮かべてる。
幸せや。
ほんで、登山に付きのもなのは、
「降りる」
って事。
アンナプルナの絶景を背に、
何回も何回も振り返りながら、
「さよなら」と「ありがとう」を伝えてた気がする。

山はただそこにあって、逃げる事はない。
帰り際に見せてくれる山の表情はまるで、
「帰りを待ってる」
みたいやった。
「また帰ってこいよ!」
険しくも美しく、優しい表情がいつまでも背中を押してくれる。


インターネットが繋がらなかった6日間。
なんてことない。
自然界にもともとなかったもの。
今の世の中は、人間が後から作ったもので溢れてる気がする。
もちろんそれなしで生きていくのは、今難しいやろうし、「人」も自然の一部。
自然な流れなんかも知らん。
でも、たまにはこうやって目の前に広がる世界と人と過ごす贅沢な時間があってもいいんかもしらん。
ほんで、人間界っていう自然に帰っていく。
自然界と人間界を行き来する生活は、僕にたくさんのものを与えれくれました。
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